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《ネタバレ》 設定は、名作『グロリア』『レオン』を彷彿とさせます。ハードボイルドにヒューマニズムのスパイス。本作の場合、付加されるのは父子愛です。対照的なメイン2人の掛け合いには、“振って落とす”笑いの基本がありました。下品になりがちな下ネタも、まったく不快になりません。キャラクター、音楽のセンス、エピソードの組み立てが上手く、とてもお洒落。特に前半は大いに笑えます。そして後半は、泣けました。大きな子供ババは、フィリックスから多くの事を教えてもらいます。空は青いこと。雨は美味しいこと。ウィスキーには水も氷も入れないこと。(ついでにHの仕方までネ。)実の父親が教えてくれなかった“人生の喜び”を知ります。フィリックスは元殺し屋。森山周一郎バリの渋い声を持つダンディ。でも弱い人間でもあります。彼もババの父親と変わらない。結局は自分が傷つくのが怖い。人を愛することは、その人を失う恐怖を孕むこと。それはババの死で明確に示されます。ババパパの危惧は正しかったとも言える。しかしフィリックスは気付きました。人を愛することには、勇気を持って立ち向かうだけの価値があることを。エンディング、わが子を海に連れていくフィリックスに胸が熱くなりました。人生は無常なもの。それは分かります。それでもなお、ババには生きて欲しかった。せっかく人生の喜び、世界の素晴らしさを知ったのだから。フィリックスパパの“嘘よねぇ~ん”をあの時のババにも願ったのは、自分だけではないはずです。
【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-03 18:46:02)(良:1票)
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