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《ネタバレ》 嘱託殺人。その罪から逃れられないのは当然です。執行猶予がつかない判決が出たのも妥当だと思います。ただ、単なる人殺しでは片付けられないと思う。殺人が犯罪だからという理由では、真の意味では裁けない。「私を殺してって頼んだら、私を殺せる?」鶴田のこの言葉にハッとさせられました。もし自分が、寺尾の立場だったらどうかと考えます。多分殺さない。いや殺せないと思う。呵責の念に耐えられないから。結局自分がカワイイからです。愛が無くては、妻の願いを聞き入れる事は出来ない。ただ、もうひとつの側面も忘れてはいけません。妻の介護に疲れた。苦しむ妻を見るのが辛かった。そういう理由も少なからずあったでしょう。妻のために殺した。自分のために殺した。どちらも真実だと思う。精一杯寺尾に同情する一方、彼は間違っていたとも思います。個人が、家族が、社会が、求める幸せや正義は必ずしも一致しないのではないか。自分には何が正しいのか分かりません。だから単純に考えることにします。臓器移植で救われた青年が寺尾に叫んだ言葉「生きてください」。それが今の自分の“基準”です。誰でも必ず死にます。だからそれまで生きよう。生きる努力をしようと思います。心の琴線に触れるお話でした。ただ、このテーマを扱うには、けれんみが強すぎる。吉岡のキャラ付けはウソ臭いです。それに最後の守山直太朗の歌がいけない。良い歌ですが、初っ端から強い歌声が入るのは余韻を壊します。『たそがれ清兵衛』のエンディングに匹敵する選曲ミスだと思いました。未読ですが、原作はもっと素晴らしいであろうことは容易に想像がつきます。
【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-12-29 17:05:52)
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