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あの無敵のテニスプレイヤーだったS・グラフが、壁崩壊後の大会で優勝したかなにかのスピーチの際、感極まって涙しながら東西ドイツの統一を喜んでいることを話していたのを見たとき、ドイツ人にとって、この「分断」がどれほどの傷だったのかをほんの少しだけ垣間見た気がして、「グラフでも泣くのか(=鬼の目にも涙だな)」という感慨とともに染み入るものがあった。統一後のベルリンに行った際、強く印象に残ったのは、壁の西側は落書きだらけで、東側はまっさらのグレーだった、ということ。映画でも当たり前だがやっぱりそうだった。ドイツの今は、統一後の「分断」の傷はいまもって癒えておらず、むしろ、埋められない溝となって人々の前に横たわっていると言う。旧東独を懐かしむ人々も少なくないとか。作品的には、長尺だけど退屈する間もなく、非常に分かりやすい作りであったけれど、この手の実話ものでエンディングで登場人物のその後を伝える手法は、ちょっと食傷気味。賛否あるだろうけど、映画=実話そのまんま、みたいな誤解を与えかねないこの手法、いい加減やめたら? と言いたい。記録映画じゃないんだからサ。
【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-13 16:33:49)
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