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《ネタバレ》 シャーロット・ランプリング、好きです。いや、大好きですね。『愛の嵐』も良いですが、歳を重ねた彼女もまた魅力的。これは、まさに、シャーロット・ランプリングの映画。あの憂いを帯びた表情、1箇所だけ声を上げて笑うシーンが印象的。本作は「愛する人を失ったことを受け入れるまでの過程」を描いたと解説されているようですが、彼女は最初から受け入れていたと思います。ただ、その事実に対し、現実のものとして悲しみを感じられるようになるには、ただ受け入れるだけではダメなんだよね。その痛みをまず「実感」できなくては。受け入れられないから夫のまぼろしを見てしまった、のではなく、あまりにリアルなまぼろしが見えてしまうために実感できなかった、のだと思います。まあ、まぼろしを見ること自体、彼女の心理のなせるわざ、と言えますが、どちらが先というより、それほどまでに彼女は夫を愛していた、ということなわけです。最愛の人を亡くすことの痛みは、時間が経つほどにボディブローのように効いてくる。最初は頭と心が連動していなかったのが、次第にきちんと機能して連動してきてしまう。そして言い寄ってくる男には「重み」を感じられない・・・、分かるなぁ。この「重み」を感じないことが、痛みの実感の第一歩なわけですよね。見ていて苦しくなりました。残された者は、答えのない問いをし続けます。「私は彼にとって何だったのか。彼と私の時間は何だったのか」と。その答えは見つからないけれども、砂浜で声を上げて泣くことで、彼女はやっと痛みを感じたのでしょう。ラストシーンは、あのまぼろしを追い越して走り去った、と私は解釈したいです。
【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-06 15:55:22)
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