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《ネタバレ》 笑わなかったと言えば嘘になります。確かに、皆さんおっしゃるとおり、佐藤浩市のナイフ舐めのシーンはかなり笑いました。西田敏行の演技はさすがでした。テシオ商会とか武道館とかの小ネタもよかったです。でも、全体の印象としては「退屈」。これに尽きます。
観終わった直後は「何で楽しめなかったんだろう?」とかなり悩みました。キャストの力不足?確かに深津絵里の歌うシーンは退屈のきわみでした。彼女のコケティッシュな魅力もあの歌唱力では色褪せてしまいます。妻夫木の過剰なドタバタぶりも一生懸命さが伝わってきて、ちょっと観ていてしんどかった。 でも、やはり一番良くないのは脚本なんでしょう。この映画が映画に対する愛に溢れた作品であることは、十分伝わってきました。でも、僕はこの映画を観て、本気でないコメディのつまらなさを痛感しました。この映画はある程度洒脱にして軽妙です。でも、その裏にあるべき(と僕は思う)「本気」が見えてこないんです。人間の本質が抉られていないんです。エド・ウッドじゃないですが、僕は映画愛の先走りを感じました。 終盤には、観客皆に映画愛を理解させようとするあまり、老俳優の高瀬に映画愛を過剰に語らせてしまいます。この映画で一番嫌いなシーンです。彼が語ることは、監督が僕たちに一番伝えたかったことでしょう。しかし、それはあえて語られない中で感じるべきことです。彼が年老いても、軽く扱われても楽しそうに演技をしている。そのシーンを挟むだけで十分だったのではないでしょうか。不言実行が胸を打つのです。 邦画のコメディなんてろくなもんじゃない。この僕の思いを打ち砕いてくれたのが、「ラヂオの時間」でした。あの頃の三谷映画には「本気」がありました。鈴木京香は本気で怒り、悲しみ、喜んでいました。この映画は全てが作り物です。街のセットだけではなく、人間の感情も模型の中に封じ込められてしまったかのようです。残念としか言いようがありません。これでは、本当の意味では笑えないんです。 【枕流】さん [映画館(邦画)] 3点(2008-07-14 23:02:20)
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