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《ネタバレ》 2時間以上に渡る大作だが、この映画が言いたい事は「母の愛は絶対」。これだけだ。殺人犯がどうなろうが、警察の腐敗がどこまで進行していようが、アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティンには興味が無い。彼女の眼中には我が子しかない。"I want my son back!"。何度も繰り返されるこの台詞がこれほど強烈に胸に響くとは思わなかった。彼女は我が子を見つける助けになる者には協力し、それを妨げる者とは激しく争う。我が子のためなら、母親は鬼神にもなると言うが、それをリアルに演じきったアンジェリーナ・ジョリーの演技は見事だ。僅かな望みを追いかけ、只管に目的へと邁進する彼女の姿を「女」と警部は嗤うが、愛に生きる者とはそうあって当然ではないのか?最近観た「ナイロビの蜂」は恋愛の極致を描いているが、この映画には「母の愛」の真髄を見せられた。
映画のつくりだが、視点が定まっている映画だけに、安定感があり、まさに良い映画のお手本のような仕上がりとなっている。ある意味で、面白みに欠けるという評があるのは納得だが、映画館に観に行くコストを考えるとこの安定感は有り難いのも事実だ。もう少し、愛の利己性とそれが周囲に与える影響みたいな部分に焦点を当てても面白かったかもしれないが、監督がこの映画で伝えたいのはそこではないのだろうから仕方が無い。 ラストで「希望」と答えて笑うクリスティンの表情にはやられた。決して諦めない。何と尊いことか。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-03-02 00:00:50)
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