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《ネタバレ》 実話かと疑ってしまうほど真実味のある映画だった。ジュリアンは大学の先生で何となくおじさん臭い男。妻のリザはジャーナリズム関連の仕事をしており、若くて美人。まずこの配役がうまい。ジュリアンにとってリザは明らかに身に余る妻なのだ。二人の間にはオスカルというまだ幼い息子がいる。ラブラブで何一つ不満の無い幸せな日々を送っていたある日、突然リザが殺人罪で逮捕されてしまう。凶器の指紋という物証もある上、運悪く状況証拠も揃っており、有罪の判決が下る。残されたジュリアンにとってはまさに青天の霹靂であり、状況の打開を試みるべく、彼は妻の脱獄計画を練り始める。
この映画のテーマはズバリ愛である。ジュリアンは一切妻を疑わない。この設定が映画の面白みを殺ぐという意見もあるかもしれないが、これは映画のテーマ上、仕方が無いことであろう。私にとっては、この設定だけでかなり心を打たれるものがあった。美しい最愛の妻を取り返すためなら、全てを擲っても良いと開き直るジュリアンの姿はとてもかっこいい。私も将来結婚するなら、そこまで深く妻を愛したいものだ。 当然ながら、ジュリアンは犯罪にはど素人なのだが、その彼が脱獄計画を練る様も興味深い。着実に少しずつ決行に向けて準備を進める描写にはリアリティがあった。時には悪党に騙されながらも、妻を助けたい一心で決してあきらめず何度もチャレンジする彼を観ていると思わず応援したくなってくる。それだけにいよいよ決行に移る終盤では、思わず手に汗握ってしまった。 ただし、上映時間が短いだけに、粗い部分があるのも確か。ジュリアンとその父母兄弟との関係については、もっと設定を作りこめるし、リザがいなくなった後にジュリアンが公園で出会う女性との間にももう少しドラマがあって良い。そのあたりをきちんと修正してくるであろうハギス監督によるリメイク版も楽しみだ。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-10-10 20:05:08)
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