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《ネタバレ》 何とも評価するのが難しい映画。また観たいかと問われると当分いいですということになるが、こんなに上手に男女の感情の機微を描いた映画は観たことがない。ディーンとシンディの愛が生まれ、それが冷めていく様子が現在と過去を交互に映す手法で、淡々と語られるのだが、この過程が痛切だ。心が痛んで、切実なので痛切。この言葉がこれほどしっくりくる映画は他にないだろう。
二人はとてもロマンティックな出会いをする。そして恋に落ちる。ディーンのギターに合わせてシンディが踊るシーンは名シーンだ。彼らはこの上なく自然に結婚する。結婚しない理由が全く無い。しかし、やがて子供が生まれ、時が経ち、二人の結婚生活は少しずつ軋んでいく。 日本の公式サイトで、ディーンとシンディのどっちが悪いかという著名人によるディスカッションの模様が紹介されている。まとめるとディーンは色んなことにあまりにも無頓着すぎるし、シンディは相手に物事をはっきり言わなさすぎる。でも、僕はどちらが悪いかということは決められない。ディーンが不和の芽を作り出し、シンディが育てたのだと思う。どちらかが変われば結果は違ったかもしれない。でも、ある意味でベストカップル(だった)二人はそれができなかった。それはお互いの優しさだった。そしてそれが彼らを終わりへ導いた。 僕はこの映画をカップルには観て欲しくない。この映画は恐ろしくリアルで絶対に身につまされる箇所があるはずだから。僕がこの映画に8点しかつけられない理由もそこにある。誰が観ても色々と考え込んでしまう作品なのだ。彼女がいない僕でもそうだ。カップルで観たら碌なことにはなるまい。その場では自分達に限ってこんなことにはならないと思えるかもしれない。でも、数年後にふとこの映画のワンシーンを思い出してしまうかもしれない。頭から離れなくなってしまうかもしれない。そうなってしまうのはあまりにも気の毒だ。 結婚ってすごく難しいんだなと思う。僕もいつかするのだろうか。でも、この映画のせいであと10年はできない(笑)。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-05-12 23:38:19)(良:1票) (笑:1票)
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