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サウンド解説版というヤツで、全編BGMが鳴り続けるのには閉口した。お千と宗さんが初めてヤクザものたちに歯向かうとこでなんでブランデンブルグ協奏曲の3番なのよ、この全然合わなさは見事と言うしかない。音楽を無視すれば、部屋の中でのいくつかの移動、向こうの部屋で演じられる芝居を隣りから捉えたりと、監督ならではのシーンはある。鏡花の男だから、いつもうつむき加減でクヨクヨするばかり、ご馳走が出てもその金の工面に思いを馳せず、情けない。明治の社会とはつまりこれだったという鏡花の皮肉か。生きる上での形而下的な部分をみな女に背負わせ、それを土台にして科学(医学)が進んでいく。しかし女はその医術では治せない病いになる、って。これはハッキリ“近代”の否定ですな。肉体の病気を扱う医術の向こうで、精神の破滅という犠牲があった、って。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2009-11-21 11:50:30)
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