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これは非常に不愉快な映画だったので覚えている。アメリカの精神というやつは、フランク・キャプラのような宝石も作るが、ときにこういう腫瘍も作るから怖い。大まかな設定はいいの。強圧に対抗して個々の手紙がネットを作っていく、って。でもなんでその時にアメリカ合衆国やら星条旗やらの古いものが必要なんだ(設定は近未来)。組織に対して個人が同格で立つのが、本来の理想のアメリカ精神であろうが。ヘンなボーイスカウト的な青年組織がナチの親衛隊みたいな澄んだ目をして、少年野球の監督のようなケビン・コスナーのまわりに集まるってふうにもなっちゃうところが、“アメリカの精神”の怖さだ。系としては、敵の組織とこのボーイスカウト連中とは同じものであって、このポストマン集団が邪悪な組織の芽にも成り得るってとこを突かなくちゃ、この枠組みを設定した意味がない。悪の強圧を熱狂的に支持する群衆がいなければ、あれぐらいの武器で支配はできまい。悪辣ぶりを示すのに、中世の領主のような倫理性を持ってこなければならなくなる。現代の怖さは、熱狂的に支配されたがる群衆が簡単に組織されることだ、中世のような悪を持ってくるのは、その現代の恐怖と向き合うのが面倒くさいからであろう。それとも単純に、自国が戦場になったことのない国民のノンキさか。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 4点(2009-02-15 12:19:28)
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