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イスラム圏で女性の髪を見せない習俗があるのは、納得できる。風に乱れる髪は、心のけっこう中心部を音楽のように悩乱させる。あれはいい。雄介に給水しようとする場で思いっきり乱れる奈緒子の髪のスローモーションは、別に名場面でも凝った撮影でもないのに、嬉しくなった。まだこういうシーンは来るぞ、と待ち受ける気持ちでさらに続きを見ていくと、練習の場で、監督と衝突した雄介が橋の途中からコースを戻り、それを追う奈緒子の髪が乱れる。二人とも着ているものにさして汗が沁みず、「爽やかな青春」に徹する(陸上の夏合宿なんてすごく臭そうなんだが、そういう気配は排除されている)。きっと終盤で給水がらみでもう一回奈緒子の髪が乱れるに違いない、と座りなおして画面を凝視していると、ライバルの綾野剛(だから高校生)が雄介に追いつかれてまとめていた長髪を解いた。う~ん、男の髪じゃダメなのよ。ライバルの諫早学院はチームカラーが黒で、彼の名前も黒田君ていうあたり、若大将などの時代の昔からライバルカラーはしばしば黒だったなと懐かしくも嬉しかったが、綾野君の髪じゃ乱れがいがないんです。そもそも「成せば成る」の精神主義系の話をストレートにやられるとゲンナリしてしまうほうで、樹里の髪だけでは覆せなかった。
【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-03 10:26:58)
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