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《ネタバレ》 登場人物がひそやかに語ることの緊張がすごい。そこらのドラマだったら怒鳴るようなところも、ぐっとおさえてひそやかに語る。だって外には耳があり、そのさらに外には国家がある。直接国家の恐怖を描いていないにもかかわらず、「そういう国家」に生きていることの緊迫が全編に張りつめている。映画の描写とはこういうものでなくてはならない。なんらの趣向のない長回しが、ためらいや沈黙の息苦しさを記録していく。しかしこれは特殊な国家の物語というだけでなく、女性という性の普遍をも描いている。子どもを産む・産んでしまう可能性を持っている女性が、決定的に不利な社会。堕胎の報酬として身体を要求されるという悪循環がやりきれない。さらにもっと普遍的なテーマとして、何かをやり遂げる達成感の映画でもある。この友だちのイライラさせる造形がよくできていて、おっとりしているというのか、人任せに慣れきっているというのか、見ているこっちもイライラさせるような人。この全然「心から感謝してます」って態度を見せないキャラクターが、主人公の達成感をさらに浮き彫りにしている。いったいどういうところからこういうキャラクターを考えついたのか、とひとまず呆れ、でも私は主人公よりこっちに近い性格だなあ、と反省。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-22 12:13:09)
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