| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 勉強していた三平が母親のほうをうかがい、するとディゾルブで消え、外からターザンのおたけびが聞こえてくる。金太の言ったことで漠然とした不安が漂い、家の前をお巡りさんが通過する。弁当を曲げないようにお父さんのところへ届ける。飛び上がって帽子かけの帽子をとる…。子どものスケッチのひとつひとつが生き生きしている。これは監督の技術でもあるが、当時の松竹という会社のトーンでもあったのだろう。刑事を自分の家に導いてしまう三平。世界に対して不安・警戒が広がる。留守番しているとき雨戸を締め切ってしまう。兄弟でのオリンピック水泳中継。で三平は坂本武おじさんのところへ。残った善太がひとりでかくれんぼをしている半ば幻想シーンが凄い。もういいか~い、もういいよ~、の声が家の中にうつろに響き、一方三平もカッパの池のさざなみを見つめている。説明抜きで、兄弟の心情が伝わってくる。おじさんちから帰ってきて、働こうと思っても、小さな子どもには大きな犬の世話は出来ない。自分が子どもであることの悔しさ。子どもの心のスケッチ集として、パラパラめくってはちょっと見入る感じの作品になっている。ロケではしばしば道の中央にカメラを据え、シンメトリーを作る。アップは使わない。ひと夏の物語は、入道雲のように堂々としている。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-07-09 12:03:58)(良:1票)
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
|