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ラモリスの風船は、もっぱら町中で子どもと戯れていたが、こっちの子どもは家の中にいてゲームをやったりしている。外でもピンボールしたりで、風船が戯れかかっても、ガラスが隔ててしまう。このガラスでの隔たり、っていうのがどうもモチーフのようで、この映画では繰り返しガラスの反射が描かれていた。外の風船に対して、ガラスの内側の女と子どもだけの世界がある。窓ガラスやフロントガラスや美術館のガラスによって、風船のある世界と触れ合えなくなっているシステム。そのときの室内照明に独特の味があった。ここにもう一つ、人形芝居のモチーフがあって(候孝賢の傑作『戯夢人生』を思い出す)、この人形芝居が映画としてどう関わっているのかがよく分からなかった。ただ母がこの語りをしていて、これが何となく無声映画の弁士を思わせ(フランスに弁士はなかったが、日本統治下の台湾にはあっただろう)、あとで8ミリの無音の映像に語りが入るあたり、微妙につながったような気もする。やけにこういう映画が沁入るときもあるのだが、今回はうまく合い損なって、下宿人の家賃未払いなんてどうだっていいじゃないか、と思ったりもした。そういったゴタゴタが、風船の自由と対比されてるんだろうけど。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-03-28 12:04:49)
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