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《ネタバレ》 ストーリーの展開に無理が目立ち(とりわけ後半グズグズ)、また口当たりのいい映像の流れには飽きが来て、正直観ている間は低評価。でもラストの松たか子の「なーんてね」のセリフで、これはこれで今の時代の嫌な一面を突いてるな、とは思った。映画に蔓延してるのは「とりあえず小馬鹿にする態度」。いじめの本質かどうかは分からないけど「小馬鹿にする」ってのは重要な要素だろう。茶化す、ってことでもある。真剣なもの(それはときに暑苦しくもある)を避けて、クールであろうとする。クールに見えようとする。そのためには他人にとって切実なものまでを、小馬鹿にする。それは生々しいものから逃げたい臆病の変形なんだけど、現代はその必死に冷笑する気分が過飽和状態になっていて、それがあちこちで「いじめ」として結晶してるんじゃないか、そんなことを思った。そして娘の死への復讐という真剣な思いを完成させるためには、最後に「なーんてね」という小馬鹿にする言葉がトドメになる。しょせんエンタテイメント作品ではあるが、でもだからこそ、これが決めゼリフとしてぴたりハマったのが、現代の状況を射抜いていた(かつて「なんちゃってオジサン」という都市伝説があったけど、あれはまだ愛嬌があったな)。登場する全員が救いようなく壊れていく。暗い雲だけが動いていく。
【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-03 10:04:12)(良:1票)
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