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『アイズ・ワイド・シャット』と同じ、ショスタコーヴィチのヒナびたワルツに乗って、ナボコフの物語が展開。真っ赤なドレスが映えるイタリアの風景が美しい。ルージンが置き去りにされる街にも奇妙な味わい。そういう半分非現実に呑み込まれているような世界に、黒シャツ隊が登場し、20世紀前半の空気が張りつめる。チェスの世界はそういう時代から超然としているようでいて、でもやはり無関係ではいられない。完全に超然とするためには、独りぼっちにならなければならない。一人で、チェスの完全なディフェンスの手を考えるという、孤独の極みに耐えなければならない。悪い時代に遭遇したとき、その中で暮らすのも地獄だが、その世界の外にも、また身がキュッと引き締まるような孤独の地獄が広がっている、ってことか。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2008-07-26 12:15:19)
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