| 作品情報
レビュー情報
日本とゴジラの関係の変遷を見ると、この国の戦後史を語れる。日本人にとってゴジラとは何だったのか。最初はストレートなもので、原爆であり戦争だった。それが地球防衛軍的なものになっていき、本作に至ると、実にややこしいものになってしまった。その「ややこしさ」の提示が本作の意義。ちょっとハッとさせられたのは、土屋嘉男とゴジラが見詰め合うシーン。しばらく見詰めあったのちに、彼の戦後を否定するかのように、ゴジラはビルを叩き壊す。この瞬間だけゴジラが今回登場した意義が見えた。現在ゴジラをどう扱えばいいのか難しくなってしまった困惑。放射能汚染のために蘇ったゴジラをイイモンとして出すわけにはいかない。といってキングギドラをイイモンにしてゴジラをワルモンにするのも馴染まない。ゴジラは保護者なのか脅威なのか。もちろん強大な神ってのはその両者を兼ね備えているものだろうが、怪獣たちの戦いを俯瞰で眺める時代にはいってしまったんだなあ、という感慨も湧けば、かつてのゴジラを恐る恐る見上げていられた時代の明快さが、たとえ単純すぎても「よかったなあ」と思えてくるわけで。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 5点(2012-11-21 09:34:18)
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
|