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まずじっくりマッチの製造過程を見せる。正しい入り方。それから天安門事件を告げるテレビのニュースの声、パンしてつけまつげを付けるヒロインに至る。この人の映画では『真夜中の虹』など、遠い国への憧れみたいなものがあり、今回も歌なんかで南米志向が伺えるんだけど、遠い国にも悲惨はあり(たとえば天安門)、その国の悲惨とこの国の悲惨とがちっとも触れ合えないでいることの悲惨(というより脱力感か)を描きたいんじゃないか。監督らしさは、たとえば男がイリスの家を訪問したときの気まず~い感じ、バーで男のコップの目の前で薬を入れるとことか、あそこらへんのユーモア感覚。会話がほとんどない。過剰に不幸を受け入れていくところにヘンな勢いが感じられ、毒薬を持って夜の公園を歩いてくる凄味など。暖かい国ではなく、寒い監獄へ、と。たしか『真夜中の虹』でも「悲愴」が流れた。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-10-30 09:27:19)
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