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自分の夢を精緻にフィルムに刻めた天才もいれば、いいかげんなフィルムを量産することで夢を消化していった凡才もいる。程度の差はあれ、何かを作り上げることを知ってしまった者の、恍惚と不幸と滑稽と。芸術の世界はこうしてどこかに進んでいくわけだ。夜の沼のシーンでタコと格闘する場で胸が詰まった。あそこは映画の自己愛を越えたものがあったが、あとはおおむね段取り通りの展開で、これからノッてくるのかな、という気分のまま終わってしまった感じ。意外とひねくれてない。元恋人が、こんな馬鹿なことで人生を無駄に潰したくないわ、と去っていくとこも、ちょっと胸を打つ。これはすべての登場人物の心の片隅にあった疑いの言葉であり、それでもやめられないんだから、全員がヤク中みたいなものなんだ。ここをもひとつ突き放す視点が欲しかった。でもいいのかな、一般世間はとっくにこういうB級映画は突き放してて、映画好きだけが愛を注いでるって状況なんだろうから。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-10-31 11:54:58)(良:1票)
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