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入りのリズムも良く、静かな庭→縛られている家人たち→女中の体当たりで倒す障子→かくれんぼをしている女の子→天知茂、とそつがない。全体悪くないのだが、敵役が「最初は世直しを計画していた一派」というひねった設定で「真っ黒な悪人」でないのが、感情的に一筋にまとまりづらく娯楽作としては難点。と思って製作年を見ると66年。う~ん、微妙だ。もしや当時の学生運動をダブらせていたかと思ったのだが、どうだろう。たしかにいろんな大学でくすぶってはいたようだが、それに注目が集まるのは翌67年の羽田闘争からだ。それにこういう原作もののシリーズは、どこまで当時の脚色者の自由だったか不明。でもあの天知の「正義のためなら町が火の海になっても仕方がない」というスタンス、やがて無差別爆弾闘争に煮詰まっていく若者像に重なって見えないでもない。かつてサイレントの傑作『忠次旅日記』で徒党が煮詰まって滅んでいく悲劇を描いた伊藤大輔の脚本ということで、新左翼の未来を予見したか、とも思ってしまった。
【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-11-06 09:43:56)
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