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《ネタバレ》 死への好奇心が、けっきょく「老人と子どもの心の通いあい」の入り口の役割りだけで終わってしまったようで、もっと「老人を観察し続ける緊張」を持続しといてほしかった。「老人の死」が、やがて戦場での「老人の殺人」に通じていく仕掛けはあるのだが。荒れ地がきれいにかたづいてしまうとこは、少年たちの「秘密の花園」って感じ。悪口を言う映画ではない。ただ相米監督の映画に常に漂う物足りなさは、やはり感じられた。いつも思っていたのだが、相米監督の映画って、神代辰巳監督の一般映画となんか匂いが似ている。ロマンポルノでは、充実したフィルムを次々と作れた神代なのに、それなら「ちゃんとした」映画も撮ってみたまえ、って感じで立てられた企画では、なんか気が抜けた映画を作っていた。相米ファンには申し訳ないが、彼の映画ってその感じに似てるんだ。気が抜けた、は言い過ぎか。全力投球するのを妨げられている感じ。神代が、自在に動ける土俵としてロマンポルノという世界を持っていられたのに対し、少し遅れて監督になったってだけで、日本映画界は、相米にはもうそういう場所が与えられなくなっていた、って気がする。アイドル映画ではたしかに面白いものを発表していたが、たとえばそれが神代の代表作と肩を並べるほど日本映画史の代表足り得るかとなると、ちょっと弱いと私は思う。溢れるほどの才能はあるのに、ついに代表作を作る場を与えられなかった悲劇を、私は相米監督に感じてしまう。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-01-07 10:30:04)
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