| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 他人の事故で盛り上がる大衆の物語。生き埋め事故に遭遇したジャーナリストが、その救出をドラマチックに演出していくの。それに乗ってくる大衆の興奮のエスカレーションぶりが、さりげなくもすさまじい。現場に集まってくる野次馬たち。そのうち入場料を取るようになり、人混みの向こうでは風船売りが仕事を始める。列車で次々と「人の不幸を黙って見ていられない心優しいアメリカ人」たちが訪れ、一番乗りした人はそれを強調する。救出現場のそばに遊園地ができて人は遊び、助からなかったと知ってはさめざめと泣く。これはまだ新聞がメディアの中心だった時代の話で、現在のテレビ時代はもっと過激にカーニバルが展開している。これだいぶ昔に見たんだけど、この辛辣さが強烈だったんで、その後ワイルダーの喜劇を見ても、どこかひんやりしたものを常に感じてしまうのだった。原題が「THE BIG CARNIVAL」で、ひどい邦題付けたなあと思ってたら、ワイルダーの付けた題「ACE IN THE HOLE」を、不入りで会社が変えたのだそう。邦題はけっこう忠実に訳していたわけだ。ワイルダーは対談本で「ノータリンめが」と題の改変を憤慨してたが、凡人の私には「ビッグ・カーニバル」のほうがいいように思うけど。
【なんのかんの】さん [地上波(吹替)] 8点(2008-02-07 12:24:46)
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
|