処女の泉 の なんのかんの さんのクチコミ・感想

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処女の泉 の なんのかんの さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 処女の泉
製作国スウェーデン
上映時間89分
劇場公開日 1961-03-18
ジャンルドラマ,ホラー,モノクロ映画,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》 少年が加わっていることで陰影が濃くなる。娘と対になるイケニエ役か。事件のあと雪が降り始め、罪の意識にさいなまれておどおどし、その晩地獄の恐怖に包まれ、やがて娘の母にすがるも投げ殺されてしまう。娘の死も惨めだったが、彼の死もあまりにも惨め、このむごたらしい何ら肯定的な光のない事件を、神は沈黙して見過ごし、その後で泉を湧き上がらせるわけだ(全編を通して火と水が対置されている)。おそらくこのズレに話のポイントがあるのだろう。復讐に至る場の緊張はすさまじい。娘の服を犯人どもに見せられた母の反応、叫び出したいのをじっと抑えたハラの演技が凄く、歌舞伎を思わせた(「先代萩」の政岡に通じるような)。知らされた父も、清めの湯を沸かすための樺の樹を捻り倒すロングのシーンで心情を見せる。朝を告げる鳥のさえずりが凶々しく、さらに家畜の鳴き声も加わる時間経過の描写。おもえば『羅生門』と似たような森の中の事件を扱い、仏教国とキリスト教国の違いが話に出ていた。というか温帯の濃密な照葉樹林と、寒帯の針葉樹林の違いか。顔の上で枝の影と血の流れが重なったりする効果。この監督にしては珍しくストレートな作りで、最初にスクリーンで観たときはちょっと物足りなく思ったが、のちにテレビで観たときは復讐シーンでのめり込まされ、これはこれでやはりベルイマンの映画なのだった。
なんのかんのさん [地上波(字幕)] 8点(2010-05-11 12:04:15)
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投稿日付邦題コメント平均点
2014-03-15エデンの東(1955)8レビュー7.25点
2014-03-14アゲイン/明日への誓い6レビュー5.22点
2014-03-13オリバー!7レビュー6.08点
2014-03-12世界の中心で、愛をさけぶ6レビュー5.27点
2014-03-11真珠の耳飾りの少女6レビュー6.33点
2014-03-10ゴースト/ニューヨークの幻7レビュー7.02点
2014-03-09EMMA/エマ(1988)6レビュー6.00点
2014-03-08稲村ジェーン4レビュー2.43点
2014-03-07つぐみ5レビュー4.96点
2014-03-06ボイス・オブ・ムーン6レビュー5.25点
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