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《ネタバレ》 ヨーロッパとはまったく違う没落の様式とでも申しましょうか。女性的なのよね。映画としても女優展覧会のおもむき。でもやっぱ杉村が光る。電話で三味線の手を習うとことか、「芸者稼業はいいねえ」と言って、ジャジャンガジャンと岡田茉莉子と踊って吐きそうになったりするとことか、いい。あそこでふっと泣いた感じを出したりしちゃいけないのよね。あくまで生理的な吐き気だから、かえって無惨なの。田中はじっとしている役で、山田んとこに伺いに来て返事がないので立ちかけて、なんてあたりがいいね。山田はこういうのやらせると間違いがないし。元の旦那と会えなかったとこや、あの十万は手切れ金のつもりだったのよ、と言われるとこなど。シッカリ女のちょっと弱いとこをうまく突いてくれる。栗島は貫禄だけで見せているようでいて、面倒見のいいような・後半あっさり見捨てていくようなとこを嫌味なくやってのけるのだから、やはり大したものなのだろう。と、女優展覧会でありながら、ぜんぜん「ケンランと」ではなく、じっと沈澱してくるような手応えが成瀬の味わい。そこに、ヴィスコンティなんかとはまた全然違った、しかし日本ならではの没落の歌が流れている。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-01-11 10:12:57)
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