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なんで原作の面白さを生かさないんだろう。なんでかぐや姫に恋などさせるんだろう。あれは「細雪」の雪子なわけでしょ、もっと男どもを軽蔑しなきゃ。現代風への親切のつもりなのだろうか、“軽蔑”があの物語の核心だと思うんだけどなあ。なんでかぐや姫に「生存者」なんて言葉を使わせる。なんで眼が青い。恥ずかしい恥ずかしい20世紀風の空飛ぶ円盤は、もう見なかったことにしておく。満月の恐れが出てないのもいけない。日に日に月が満ちていく怖さ、それこそ一番の映画向き見せ場になるはずなのに(タヴィアーニの『カオス』!)あっさり跳んじゃうんだもん。この監督、『雪之丞変化』とか「金田一もの」とか、リアリズムを脱したしかし現実世界を描くとすごくいいんだけど、『火の鳥』とか『つる』とか、完全なファンタジーになっちゃうと失敗するんだ。監督論を考えるときの重要なポイントかも知れない。いいところをひとつぐらいあげとくと、若尾文子がフシギをすぐ信じてしまうのが、実にそれらしくてよかったこと。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 5点(2010-03-23 11:58:13)
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