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《ネタバレ》 オデュッセイのロンドン版と思えばいいのか。遍歴して帰還する話。どこかディケンズの時代をほうふつとさせる夜。いささか上滑りな哲学的会話。しだいに暴力・迫害があらわになってきて、チンピラどもに殴られたりする。冒頭、ジョニーがマンチェスターでレイプしていたような路地で。そして帰還。女の肯定、これはジョイスのユリシーズならyesの部分にあたるのかな。でも、ここでとどまらず、ユリシーズはまた放浪に出ていくところで終わる、っていうんだがね。世の中に拗ねているこの主人公は実にくだらない奴なんだが、それと作者との距離が、イマイチ分からなかった。批判的に見ているわけでも、共感しているわけでもなく、ただ純粋に観察してるってのがポイントなのかも知れないけど、映画観てる方としては、これだけ付き合う価値があるのか、とか思っちゃう。会話の重みなどカサヴェテスに近いが、あの「演じつつ他者と接触する緊張感」みたいなものはない。それがネイキッドってことなのか。でも、衣装への意識がないと、ネイキッドにもならないと思うんだけど。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-10-29 10:09:57)
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