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チェーンのキャバレーで店長を目指す男の話で、そのイヤーな感じは良く出ていた。軍隊調の挨拶など。ある種の被管理願望っていうのか。それがあまりに陰鬱なので、いろいろ滑稽なシーンがあっても笑えないんだな。作者がマゾヒスティックな喜びに浸りすぎちゃって批評の目が薄らいだのか、あるいは作者の中を通過しきっていない不消化のルポってことなのか。伊藤克信はノーマルな会話はダメだけど、普通の演技でない叫んだりするとこでいいんだ。これ池袋の名画座(文芸地下)で観たんだけど、近くに伊丹十三が座っていて驚いた。1983年3月4日のことである。この3日前の3月1日には銀座の名画座(並木座)で『人情紙風船』を観、そこでも伊丹十三に出会っていたのだ! 私も暇だが伊丹さんも暇だなあ、と驚いたが、これの併映が森田芳光の『マル本・噂のストリッパー』で、伊丹さん『家族ゲーム』の撮影に入っていたころか、監督の力量を観に来ていた“仕事がらみ”の観賞だったのであろう。ついでにそれにもちょっと触れておくと、純情青年がストリッパー(岡本かおり/『家族ゲーム』にもちょっと出ている)に抱く憧れの話で、淡い哀感を伴う成長物語になっており、私には根岸作品より面白かった。太田あや子との会話「これ自信作なんです」「自分で作ったんですか?」「買ったの」なんて、距離を置いて丁寧な口調でボソボソと語り合ってるのが、まさに森田調でした。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-06-08 10:13:10)
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