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《ネタバレ》 勝新のヌルヌルヌラヌラした感じが最高に発揮されている。子どものときから自分の盲目をネタに言いがかりをつける悪いヤツ。世間は征服する対象としてのみ存在している。障害者のピカレスクが凄味を持つのは、世間との対立感覚がより際立つからであろう。差別かもしれないが、でもここには世間の側が持つ疚しさも関わっているから、見ているこちらにもジャリジャリと引っかかってくるのだ。しかしけっきょく女の心は得られず、自分の罪を他に転嫁しようとした過去の仕掛けによってアシがついてしまうという設定が皮肉。冒頭が祭りの風景で、そこで少年の杉の市が小さな罪を犯すところから始まって、ラストも、祭りを蹴散らしてゆく検校の駕籠が捕縛されるという対比。世間からのつぶてが飛んでくる。まったくひどいヤツだが、ずっとこの映画を見ていた一観客としては、このつぶての一団に加わるほどの真っ白な正義感も湧いてこない。そこにこの映画の価値がある。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-12-23 12:11:24)(良:1票)
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