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《ネタバレ》 妻投稿■よくツタ屋で「戦争の狂気」という題目で売られている映画。私はこういう分野の映画には2種類あると思っていて、1種類目は「ジョニー・マッドドッグ」や「ホテル・ルワンダ」みたいに、私が映画を見て、「遠い世界で行われる人間の狂気を知って恐怖を感じた気になって」、「まあああいう国に行かなければいいや」と夕食を続けるタイプの映画。もう1種類目は「狂気」というものを感じさせない割には「こういう事が目の前で起こったらどうしよう」という生理的恐怖を感じさせる映画。私にとってこの映画は後者のタイプだ。■突然軍隊がやってきて市民を無差別に殴り殺す。パンツ一丁でトラックに乗せられる。政治的にはいろいろあったけど経済的には日本と同じシークエンスを経ている(つまり風景がちょっと前の日本と似ている)世界でこういう事が本当にあると言うのが言いようのない暴力の恐怖をストレートに伝えて行く。この映画の上手いところは「何でそんな事が起こったのか」「人間の狂気」「戦争の狂気」なんて鼻から論じるつもりがない事。もう「何で?」なんて関係なく殴られ殺される。その点が「暴力の理由なんて後から理由づけされるもの」という歴然たる戦慄を上手くあらわしていると思う。■後半市民軍が結成され、解放区が作られてワイワイガヤガヤやっている風景や、そうした団結が軍隊の圧倒的力の前には脆くも潰されてしまうという無惨すぎるラストは、「暴力」「軍隊」と言うものの本質をストレートにぶつけていると思う。軍隊や自衛隊は主権国家なら必要かもしれない。でもその本質はああなんだから、ちゃんと国民は管理しなきゃね。
【はち-ご=】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-08-05 04:11:45)(良:1票)
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