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《ネタバレ》 妻投稿■ご愁傷様としか言えない内容。眼鏡のお父さんも、村田みたいな人間が近づいてきたら奥さんを犯されたり娘さんが危害に遭いそうな事ぐらい予測はできると思うんだけど。それが出来ずに村田の言いなりになったのは、たぶんお父さん人間以前に動物としてすでに死んでいるということだと思います。「人生は痛いんだよー」と言っていますが、誰も守らずに痛みから逃げた人が説教しても娘には伝わらなくて当然だと思います。■ちなみにこういう現実事件や虐殺を題材にした映画で、暴力が動物的本能や狂気によって発生するような描かれ方をするパターンは多いのですが、大概残虐で死者数の多い事件ほど、大勢に支持された「高潔」な精神、理性的、論理的な思考のもとで発生するものだと思います。だって動物は人間ほど同種同士で殺しあわないもん。縄張り争いにしたって動物は本能的に致命的な殺し合いを回避していますし。一方で、村田さんの営業話術や指導法は社会に必要とされる技術だと思うし、殺人や死体解体、部下の奥さんに手を出して部下を拘束するやり方にしたって社会を有利に生きる上では何も間違ってはいない。■つまりこの映画の人間たちは自分達を抑制する「動物的本能」を置いて行って、「社会的関係」の名において頭を「理性的」に働かせた結果こうなっちゃった、実は物凄い「人間らしい」存在としてこの映画で描かれていると思います。映画のメッセージは「人間は進化によって暴力から離れたんじゃない、近づいたのだ」という当たり前のこと。そして受動能動問わず「人間・理性・社会(および宗教)」というキーワードだけで殺人や暴力から解離出来ると考えている現代人への警告。だけど問題を考える上では動物的本能だけでは当然不十分で理性も社会も、そしてなにより自立能力が必要なんだよね。■だが、そう考えると私はこの映画の点数を下げてしまう。だって園子温がこの映画で描きたい物は無法同士の殺人と言う一面のある埼玉愛犬家殺人よりも、市井の従業員や子供を含む家族同士でヒエラルキーを作らせて殺し合わせた北九州と尼崎の事件の方にあると思う。だが園はそれをモチーフにしなかった。これ彼の逃げ道じゃないだろうか。おかげで私は劇中「こんな状態になったら逃げるわ」と思ってしまった。これはこの映画の致命的な失敗。そんな園監督が人間の猟奇性を炙り出した問題監督と予告編でもてはやされるのも変だと思う。
【はち-ご=】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-08-23 15:13:38)(良:2票)
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