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《ネタバレ》 妻投稿■加害者の身勝手な妄想(自分が不幸であるのが強姦殺人の事由という論理)には全く賛同出来ず、ラストは「こいつ死ねよ」と思ってしまった。でもその「こいつ死ねよ」という感情が実行されてしまうのが死刑制度なわけであって・・・。■この映画は殺人被害者遺族の感情を持ち出してはいない。遺族だったら殺人者は残虐な方法でぶっ殺されてほしいと考えるのは至極当然だ。遺族の方の世界からは平常も正常も奪われてしまっているのだから・・・。だがそうではなくて、この映画は私みたいに「こいつ死ねよ」という感情を持っている一般市民自身に作られた映画なのだ。■私はある女性に対する誘拐殺人犯が友人の協力で作ったブログを見たことがあって、犯人の身勝手な論理に吐き気がした。死ねばいいと思った。でも、犯人に対して「死ね」というような私みたいな一般市民の何百のコメントを見ていると、その感情やコメントは正しいし当然だし、間違っていないのだが、少なくとも怖いと感じた。■映画ではそうした私たちの「死ね」という感情を滑稽に描ききっている。その形として「死刑執行後に記憶喪失になった人間を誰もが『死ね』というような人間に戻して死刑にする」というコンセプトはよく考えたなあと思う。このコンセプトは遺族の方からすればどうでもいい次元だが、私たちごときには考えさせられてしまう問題である。遺族の方の報復感情が当然だからといって、私たちが「死ね」というのは、死刑を運用するのは正しいのだろうか。被害者遺族と一緒に「殺せ」を連呼すること「だけ」が、「唯一」の被害者への殺人行為を憎む手段なら、人間は終わりだ。■この映画の問いが直ちに「死刑廃止すべき」に繋がるのなら、「遺族自身に報復を押し付けるべき」という考えになっちゃうから、一概には言えないんだけど、でも身内を殺されたこともない日本人が、自らの残虐性に無頓着なまま死刑を支持しているのではという一種の風刺が、この映画には確実にあると思う。
【はち-ご=】さん [レーザーディスク(邦画)] 9点(2011-07-09 16:29:46)
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