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《ネタバレ》 妻投稿■震災後、家が一部損壊し電気が通じなくなったため、視聴覚教室で使うような小さな映写機を借りて、小学校のジャングルジムに自宅のシーツをかぶせて即席の画面にして上映しました。もちろん上映会ではなくご家族内で楽しむためですよ。うしろにさらに人がいたような気もするのですが、多分不可抗力です(笑)■映画の中でも小学校でヒトラーの上映会をやっていましたが、これにみんながハイルポーズをするシーンを見て、何で武君が信二君にこんな屈折した愛情表現をするのかがわかった気がします。ここに出てくる子供たちは強力なリーダーが統括する多数派に身を置きたいわけで、決して友情で結ばれているわけではない。多分彼は信二君への友情と自分の地位との間で葛藤していたのだと思います。女の子に自分の矜持を試されて多数派リーダー大原君を拒否する信二君、しかしその信二君も須藤君の支配下に組み込まれて大原君を裏切ってしまう。■こうしたシークエンスが憲兵におびえて好きな事も出来ない大人や、日本が負けた途端に軍歌におびえる駅員といった子供たちの権力構造と変わらない日本社会と並行して描かれる脚本が「ほんものの友情の怖さ」を的確に表現していて凄くうまい。「軍歌しか知らない」と言う子供たちに「周りを気にせず軍歌を唄え」というシーンは新時代を生きる子供たちへのメッセージである前に、友情というものの前に戸惑う子供たちへのメッセージだと思うし、全てを許し合ってようやく最後に「友達」になれた大原君がトンネルに消えて行く場面は、「青春の1ページ」という文章表現では簡単にできる単語を、「いじめ→友情→別れ」という大人が勝手に考えている少年ジャンプシークエンスを見事に裏切った脚本とともに、最高の形で映像表現していると思う。
【はち-ご=】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2011-04-20 11:03:20)
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