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レビュー情報
《ネタバレ》 原作は未読です。
ときどき、大した事件は起こらないのに最後まで緊張が途切れずに見応えを担保している作品に出合います。本作もそんなカテゴリーに類される作品でした。 胡散くささ満点の行天(=松田龍平)が便利軒を営む多田(=瑛太)のところに転がり込んでから、いくつかの出来事を通して明らかになって行く二人の素性。内に熱い想いを秘めながら、行動と言動に統一感が無い多田。風貌やダレた態度とは裏腹に、実は博愛者の行天。鑑賞側がそれを徐々に理解するように、彼らもお互いの認識を深めて行ったと思う。でも、彼らは一切、自分のことを語らなかった。言わなくても良いのか、言わない方が良いのか、言いたくないのか…。初めて、自分の過去を語った多田は行天に「出て行け」と言う。なぜか? 自分の辛さを知っている者が至近にいることで、辛さが増す予感がしたからだと思う。それをあっさり了解する行天。このシーンは人の関係性の分水嶺を見る思いで、とても見応えがありました。 時間を置けば、自分のことを知っている者の存在が逆に有難く思えるようにもなる。それが本作のラストシーンです。二人がフレームアウトするラストカットが「今後」をイメージさせて、とても印象に残りました。 いくつかの親子関係を横軸に据えながら、人の距離感を語った作品だったと思います。これまでは並以下だった松田龍平の評価が変わりました。人をおちょくった変な走り方(笑)。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-07-14 14:12:21)(良:1票)
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