| 作品情報
レビュー情報
これより前の大林作品は、監督の思い入れの強さが変なアウトプットになって、違和感が先行する可哀想な映画が多かった。が、この「転校生」は監督がやりたいことと、観客の見たいもののバランスが初めて合致した記念碑的な作品ではないだろうか。そして、そのバランスは凄いパワーを発揮する。中味が入れ替わってしまった男女の戸惑いが、やがて思いやりと友情に変化してゆく様が、軽妙な笑いの中に表現され切っています。爽やかこの上ない映画です。入れ替わった後の性格が少し違うんじゃないかと云う指摘もあり、実は自分も同感なんですが、細かいことは気にしていません。後に尾道三部作と呼ばれる連作の初作ですが、海あり・山あり・坂道ありのロケーションを巧みに使っています。なんというか、そのロケーションの活かし方に土地に対する愛情を感じるんですね。そんなことを思わせる監督もこの人くらいです。ちなみに、もう二十年以上前の話ですが、多くの大林ファンのご多分に漏れず、行きましたよ、尾道。あの石段を転げ落ちたらフツーは昇天ですね(笑)。
【アンドレ・タカシ】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-01-13 18:04:36)(良:1票)
アンドレ・タカシ さんの 最近のクチコミ・感想
|