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《ネタバレ》 久しぶりに観たけど、これは凄い。大映の特撮ものとしては、昭和ガメラシリーズよりよほど出来が良い。城の普請場などは大掛かりなセットが組まれていて、大映の気合いを感じる。あれはアラカツマという神らしい。日本古来の土着の神様ですな。この神様の設定が本作の全てです。さんざんに悪行を尽くす大名がいるのだが、自分に被害が及ばない限りは知らぬ振り。乙女の涙にほだされて、初めて本腰を入れる。暴れ始めると形相が変り、手が付けられない乱暴者になる。重量感のある人型怪獣が暴れているみたいで、あまり神様という雰囲気がない。「正義」というよりは「祟り」です。そう、「八百万の神」って半分は妖怪みたいなもので、人智を超越しているだけで善き者とは限らない。この魔神はかなり禍々しく、善人も悪者と一緒に踏み潰されかねない恐怖をまとっている。磔代を投げ捨てた時はドキッとしました。キリスト教の神は悪魔に対抗する存在だけど、こちらには神と魔の両方が入っている。「魔神」とはそんな意味なんだと勝手に納得した次第。乙女の涙以外にコミュニケーションが取れない恐ろしい味方。それが作品全体に異様な緊張感を与えていました。スター性は別にして、造詣が深いという意味ならゴジラ以上でしょう。伊福部昭氏は勝手に東宝専属と思い込んでいたけど、大映でも音楽を付けてたんですね。彼の音楽で魔神を鎮める舞踊なんてやらせると、武者像の足元でモスラが孵化しそうでした。
【アンドレ・タカシ】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-08-25 22:41:30)
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