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《ネタバレ》 逆光の海を滑るボートを眺め、そのどこに魅かれたのかは解からないけどボート部入部を決意する主人公。この適当とも思える動機付けがとても印象的でした。人が何か始めるきっかけって、大概はそんなものだと思う。それが「自分にはボートしかない」とまで言い切るほどに入れ込んでしまう。本作はそんな記憶があるか無いかで、随分と視線が変化する作品だと思います。私はただただ、30年以上も昔のことになる自らの部活を思い出しながら観ておりました。自分は陸の上を駆ける競技だったのでボートとは全く無縁ですが、劇中の彼女たちとほぼ同年代だからなのか類似するシチュエーションが多々あって、無条件に共感してしまう。合宿の思い出、故障して満足に練習できない焦り、簡単に辞めろと言う肉親、年度が進むごとに緊張が増す試合、あと一歩で届かなかった目標、などなど。劇中に自分が見えました。部活に打ち込んだ記憶は年齢とともに遠くなっても減衰することはなく、私はこの種の映画には滅法弱い。個人的にとても素晴らしい作品でした。過去を懐かしむことに何の意味があるのかと問われれば、人生ってそんなものでしょ、と答えます。
【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-11-10 22:21:00)(良:2票)
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