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《ネタバレ》 近年ブームのいわゆる社会派エンターテイメント。ストーリー自体は事実を下敷きにしている為かゆっくり(というよりドロドロ)している。ゆえに「映画らしさ」ではエンタメに傾倒した「ワールド・オブ・ライズ」や「ブラッド・ダイヤモンド」には及ばないかもしれない。
そこで、この映画の武器(売り)となるポイントが何かというと、圧倒的なリアリティである。本作が持つ偏執的なまでの映画的なリアリティ(観客に納得させる力)はほかの監督には出そうと思っても出せない唯一無二のものだと思う。 だが、リアリティのある映像や会話でゴリ押しするだけではただのドキュメンタリー、再現VTRでしかない。そこで軸として主人公の「マヤ」というキャラクタを据えたことが活きてくる。この「マヤ」というキャラクタの心情を推し量ることで、観客は9.11以降のアメリカがどのような考えで行動し、どのような感情を抱いていたかを考える事が出来る。(ゆえに、プロパガンダである、という批判が出てしまうのはある意味仕方ないこととも言える。)そう考えると、本作のラストシーンがいかに優れているのかが分かると思う。色々な感情の入り混じったマヤの表情、そして涙。アメリカが抱いているであろう「喪失感」や「悲しみ」。国民1人1人がそれぞれ抱いているであろう複雑な感情を主演のジェシカ・チャスティンは表情1つで見事に演じきってみせた。本作の締めくくりとしてこれ以上ないシーンであろう。 【bolody】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-03-01 00:33:38)
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