地獄門 の S&S さんのクチコミ・感想

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地獄門 の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 地獄門
製作国
上映時間89分
劇場公開日 1953-10-31
ジャンルドラマ,時代劇,小説の映画化,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 長谷川一夫が演じるのは、後に出家して僧侶文覚として平安後期および鎌倉初期に活躍した遠藤盛遠です。この盛遠がいくら田舎武士とはいえやってることがムチャクチャ、その行動は匈奴か鮮卑族かと思うぐらい、自分の思い込みで独身と誤解した同僚の妻である袈裟を無理くりに奪おうとして夫や親族までも皆殺しにしようとするヤバい奴です。これを美男スターの代表である長谷川一夫が演じるのはミスキャストのような気がしていましたが、その眼力と風格でこなしてしまったという感があります。そのストーカー侍に狙われるのが京マチ子、この人はケバい顔つきのヴァンプ的なキャラというイメージがありますが、やはり平安美人を演じさせたら右に出る者はいないと断言しちゃいます。『羅生門』を超える妖艶さ、まさに“グランプリ女優”の称号に恥じません。もちろんカラーでスクリーンに映しだされたのはこれが初、さぞや当時の観客は魅了されたことでしょう。大映としてもこれが初のカラー映画、その色彩の鮮やかさは現代の眼で観ても息を飲むほどで、「自分は産まれてからこのかた、こんな美しいものを見たことがない」とまでジャン・コクトーが激賞したというのも納得です。 この映画は同じ『門』でも『羅生門』と較べれば最近では映画ジャーナリズムでも取り上げられることが滅多にない感じですが、後にも先にもアカデミー賞で二部門受賞した日本映画は本作だけなんですよ。決して忘れられてはいけない重要作なんだと思います。
S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2024-02-26 22:49:03)
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