トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男 の S&S さんのクチコミ・感想

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トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男 の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男
製作国
上映時間124分
劇場公開日 2016-07-22
ジャンルドラマ,伝記もの
レビュー情報
《ネタバレ》 二度もオスカー受賞したのに、どちらも借名や架空名義にするしかなくて自身の名前を出すことが出来なかったダルトン・トランボ、ある意味この映画は“名前を消される”“社会から存在を否定される”ことの恐怖が主題だった様な気がしました。トランボは言わずと知れた“ハリウッド・テン”のリーダー格だった人、実際にも共産党員だったけどただの一般党員でとっくに離党しており、別に過激な政治活動をしていたわけでもなく俗に言うところのリベラルという分類に当てはまるんじゃないかな。このいわゆる赤狩りの恐ろしいというか雑なところは、議会の公聴会の様な衆知の場で自分が党員だったことを告白しなければならないところ。FBIに監視はされていたけど非合法だったわけではなくて、証言を拒否すると偽証したわけではないのに議会侮辱罪なるヘンな法律でムショにぶち込まれるという恐ろしい話しです。実際にスパイ活動をしていたというなら話は別だけど、スターリン時代のソ連だって北朝鮮だって頭の中で考えるのは自由で、止めさせることは不可能でしょ。 監督があの世紀のおバカ映画『オースティン・パワーズ』シリーズのジェイ・ローチなんでちょっと訝しかったんだが、観てみると実に見応えがある正統的な映画でした。ブライアン・クラストンの演技は素晴らしくて、実際はどうだったんだが知らないがトランボの誠実な人柄が印象に残ります。非米活動委員会側の映画人たちの陰険さはたまらなく不快感を催すけど、中でも“蛇の様に嫌らしい女”としか言いようがないヘッダ・ホッパーを演じたヘレン・ミレンがこれまた強烈。こんな憎まれ役でも軽々と演じてしまうのが彼女の凄いところです。ロジャー・コーマンと並ぶ50年代B級ムービーの帝王であるキング兄弟、その兄であるフランクを演じたジョン・グッドマンには笑っちゃいました、だってこの人は過去にも『マチネー』や『アルゴ』で映画プロデューサーを演じていて、もう太っ腹の映画プロデューサーは彼の専売特許のようです。そんなクズ映画を量産していた彼が、トランボの書いた『黒い牡牛』でオスカー受賞してしまったのは皮肉としか言いようがないですね。そして『スパルタカス』製作時のカーク・ダグラスのカッコよさにも惚れ惚れしましたね。できればダグラスがトランボの名前を脚本クレジットに出すべきか悩んだときに、キューブリックが「だったら俺の名前にすりゃいいじゃん」と提案して来て「スタンリーよ、君は才能があるけど実にクソったれな奴だ!」と激怒して言い返したというエピソードも入れて欲しかったな。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-07-06 23:21:03)
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