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《ネタバレ》 デンマークは実はヒトラーが第二次大戦で侵略した中で最短で降伏した国ということになります。1940年4月9日真夜中に侵攻が始まり半日余りで政府は降伏しドイツに占領されましたが、そりゃ第一次大戦も中立で参加していない小国ですから、ドイツと戦って国土を守れるわけがありません。同じような立場だったオランダが激しくドイツに攻められてロッテルダムまで爆撃されて大被害を受けたことを考えると、賢明な選択だったようにも思えます。でも降伏の情報を知らなかったといえドイツ軍と戦闘した部隊が存在したということは、国際政治では重要なんです。侵略に対してたとえどんな形であろうと反撃できない国家は、長い目で見れば他国から軽んじられることになるでしょう。同じゲルマン系という誼か政府は存続を許されましたが、東部戦線に義勇軍を派遣したりとドイツに協力させられました。でも老齢の国王は飛びぬけて反独で、ヒトラーからの長文の誕生祝の電報に「ありがとう」と一言だけ返信してヒトラーを激怒させたというエピソードが伝わっています。 というたった半日の戦争をデンマーク軍の側から描いた、これはデンマークじゃなきゃ撮られない貴重な映画だとおもいます。戦車や装甲車で攻めてくるドイツ軍に対して、デンマーク軍は歩兵だけで自転車で移動するというところが対照的です。この映画は彼らデンマーク兵たちが緊急招集されて訓練され、戦闘に巻き込まれて行くまでの過程をけっこう丁寧に描いていて好感が持てます。半日で終わってしまった戦争ですから壮絶に戦って全滅するなんてことはなく、最後は弾薬が尽きて降伏という淡々とした結末でデンマーク兵にもさほど戦死者は出ません。でも何が起こっているのかわからず路上に出てきた市民が戦闘に巻き込まれ、少年が射殺されるシーンはちょっとショッキングでした。 もうすっかり歴史の渦の中で忘れられた挿話なんですけど、こうやってきっちりと映像に残しておくという姿勢は大事なんですよね。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-11 23:42:02)
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