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《ネタバレ》 昭和41年の年内で三本が公開された大魔神シリーズの掉尾を飾ることになった三作目、ほんとは第四作目製作の予定もあったけど本作の興業成果が赤字に終わったことで立ち消えになっちゃったそうです。まあシリーズと言ってもこの三作には共通点は大魔神が暴れるだけでストーリー上の繋がりはありませんが、前二作ではお姫様をヒロインにしていたところを少年4人を主人公に据えたところに工夫が見られると言えるかも。 前二作を鑑賞済みならば大魔神降臨が後半三分の一ぐらいしかないというお約束は承知でしょうけど、少年たちが魔人のお山を越えてゆくまでのシークエンスはけっこう丁寧に撮られています。ロケ地の山岳地帯もよくこんな場所を見つけてきたな、と思わせる風景です。この少年たちの一人が激流に流されて死んでしまうのは初期の大映特撮ものらしいダークな展開で、東宝特撮では考えられないところです。でもあの筏を一瞬で作り上げるところは、いくら何でも雑過ぎるでしょ。今回は遂に大魔神が腰の宝剣を抜いた訳ですが、武器としてはあまり見せ場がなかったのは残念なところです。それでも毎度のことながらも建築物の破壊シーンには眼が引き付けられます、大映京都の時代劇で培った技術力は恐るべしです。ちなみにシリーズ通じてスーツアクターを務めたのは元プロ野球選手だった人で、あの眼だけは本人の素なんだそうです。彼はカメラが回っているときは決して瞬きをしない演技で通したそうで、毎回終いには充血して血走った眼になってしまったそうですが、それがかえって大魔神の憤怒の形相に迫力を与えていると思います。 けっきょく大魔神は、三池崇史の『妖怪大戦争 ガーディアンズ』に新造形で登場したぐらいで、50年以上経ってもリメイクされていませんが、かえってそれが日本特撮映画史上に残る伝説としての輝きを放っているんだと思います。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2025-01-07 22:35:40)(良:1票) 《新規》
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