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《ネタバレ》 まさに“トレーニングデイ”ならぬ“アロンゾ・ハリス刑事の最悪の一日”、これが午前5時から真夜中までのわずか19時間の出来事とは信じられないような濃密なストーリーですね。今までゲップが出るほど見せられてきたロス市警の悪徳警官ムービーだけど、さすがデンゼル・ワシントンが演じるとなると一味違った出来になります。彼は本作でオスカー受賞したけれど、正義のヒーローも悪辣な犯罪者も堂々と演じきれるところがこの人の凄味なんですね。いちおうバディ・ムービーのような形式ですが、相方が“ヘタレのプリンス”と呼ぶに相応しいイーサン・ホークなのもいいですねえ。普通のバディ・ムービーならばタイプが正反対な二人が段々と理解しあってゆき悪と闘うという展開なのですが、それをまるっきり逆手にとったようなストーリーテリングが秀逸です。まして主役がデンゼル・ワシントンなんですから、ところどころに挿まれる先輩としての教訓じみた説教があるので、予備知識ゼロで観始めたらきっと騙されるというか衝撃を受けるでしょう。冒頭のワシントンとホークの初対面からしてガツンときますが、この映画はアクションよりも登場人物同士のやり取りの緊張感が強烈です。とくにイーサン・ホークがギャングの家に置き去りにされてポーカーをやらされるところからの緊迫感は、もう半端ないです。これは有名な『グッドフェローズ』でのジョー・ペシがまき散らす緊張感と肩を並べるんじゃないかな。まあいくら悪徳刑事とはいえど警察署にまったく立ち寄らないのはなんか不思議な感じもしますが、デンゼル・ワシントンが演じたキャラは90年代に逮捕された実在のロス市警の警官をモデルにして演技したそうで、ほんとに米国の警察組織はどうかしてます。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2025-01-31 21:24:15)
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