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《ネタバレ》 いきなり予算が三分の一に減らされて「これが最後のガメラ映画だ」と思ってた『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』が予想を上回るヒットを記録、同じ予算でもう一本撮れと命じられて監督の湯浅憲明はその予想できるきつさに泣いたそうです。このころはすでに大映倒産が秒読み段階だったんですが、この後にも最後っ屁のように二作も昭和ガメラは続いたのでした。 もうここまで来ると、怪獣特撮というよりも完全に児童向け映画と化してしまった感があります。脚本も投げやりというか、「もう、どうにでもなれ!」という開き直りさえ感じてきます。敵役怪獣ギロンはそれまで実在の生物から造形してきたモチーフを捨てて、観ての通りの出刃包丁の擬人化ならぬ怪獣化という驚きのプロット、これは70年代以降のTV特撮番組でのモンスター造形に多大な影響を与えたんじゃないかと個人的には思っています。ゲスト出演した宇宙ギャオスをバラバラにして首チョンパ、まあ名前からしてギロチンが由来ですからね(笑)。いちおう設定は太陽を挿んで地球の反対側にある第十惑星としていますが、地球から少年たちがたどり着くまでの展開は、まさに子供だましでなぜか宇宙空間にガメラがいて宇宙空間を火を噴きながらついてくるのがわけわからない。第十惑星の宇宙人基地のセットは、さすがにあの酷かったバイラス星人の宇宙船よりはマシだったけど、少年たちが歩き回るとベニヤ板製(たぶん)の床がペコペコと軋むのがなんか情けなくなります。登場する宇宙人は地球でいうところの女性ペア、でも人間の脳みそを喰いたがるトンデモ無さです。あわれ少年の一人は開頭するためにバリカンで丸坊主、これは子役に対する虐待と捉えられて現代ではSNSで炎上するかも(笑)。 メキシコオリンピックの後だったからかガメラが鉄棒競技で大回転してウルトラCをキメるし、大村崑は「嬉しいと眼鏡が落ちるんです」というお得意のギャグを披露、まあこれが当時の観客にウケたのかは不明ですけどね。でもギロンに輪切りされた宇宙船をガメラが吐く息(?)で溶接してくっつけちゃったのにはもう唖然、ガメラの口からはアセチレンガスが出てくるのかよ!
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2025-02-01 22:23:10)★《新規》★
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