| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 作品は観たことなくても“マトリックス”という言葉は知っている人が多いという、二十世紀を閉めるに相応しい『2001年宇宙の旅』なみにSF映画を変革させた金字塔じゃないですかね。その世界観はサイバーパンクの思想が色濃く反映されていて、ウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』の影響がやはり大だと思います。そこにジャン・ボードリヤールの哲学と東洋哲学およびメシア思想をぶっこんだって感じですけど、続編からアドバイザーを打診されたボードリヤールからは「君たちの私の哲学理解は浅い」と断られちゃったそうです。この東洋哲学思想も色濃い世界線にキアヌ・リーヴスを抜擢したのは大正解で、彼の表情表現力の低い当時の演技力(まあ大根役者ってことです)が返って謎めいた雰囲気があっていいんですよね。ストーリーに組み込まれている世界線や表現は確かにアニメや過去作からの引用が感じられますけど、あのバレットタイムの創りだす映像の凄まじさには初見の当時の観客が度肝を抜かれて熱狂したことはムリもないです。 この第一作ではネオが目覚めるというか神の領域に踏み込んだところ終わるわけですけど、シリーズ始めのキャラ紹介的な位置づけとしては手堅いかなと思います。そして『2001年…』と並んで多大な影響を及ぼしたのは、「この世界は闇の勢力やディープステートに操られているんだ」と唱える陰謀論者に対してじゃないでしょうか。出来の良い映画の影響力は、恐ろしいものがあります。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-04-29 23:12:20)
S&S さんの 最近のクチコミ・感想
|