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《ネタバレ》 自分にとっては『ミスティック・リバー』や『ミリオンダラー・ベイビー』で大嫌いになってしまったイーストウッド。スピルバーグにも長くシラケさせられっぱなし。そんなわけで本当は『英国王のスピーチ』を観たかったのですが、残念なことに僕の街では公開されず・・・それで代わりに観たのが本作。少なくとも今回の作品は、バカで暴力的な人間が健気な人間をダメにしておしまいという気分悪さだけは味わわずに済むと判断してのことでした。で、観て良かったです! 劇場に行く前にここのレビューを少し拝見していたので、物語の収束に対する肩すかしは覚悟していましたが、その覚悟があったおかげか「最近の映画群の中では上々の出来!」と感じました。先にレビューを見ていなかったら「何これで終わり???」と思ったかもしれません。でも、マット・デイモンが躊躇なく普通に握手できる女性と巡り会えたという安息のラストはとても心地よい印象を残しました。「死後の世界」のことに意識を向けすぎると、肩すかしなラストかもしれませんが、「普通の人には理解してもらいようのない特別な体験や事情を持つ者の物語」という見方をすると、「やっと理解し合ったり分かち合ったりできる相手が見つかった!」という話の収束は最適なエンディングと思えます。さんざんニセモノ霊媒師を渡り歩いたにもかかわらず諦めなかった少年も、本物にたどり着いて願いを果たすし、死んでしまった双子の兄ちゃんは死後の世界を「スゲぇ」なんて言って楽しんでるようだし、母は薬物依存から立ち直ろうとしてるし、立ち直れないとしても少なくとも息子を愛していることは確か。だから少年もひとりぼっちではなく心の拠り所があります。そんな少年が、マット・デイモンに返したお礼というのも良いです。一緒に観てずっと泣いてた妻が「マット・デイモンのお兄ちゃんだけは報われなかったわね」と言うので「金儲けばかり考えてるんだもん」と笑い返しながらも、マット・デイモンは兄が言うようにその力を「人助けのために」もう一度使うようになれるかもしれないと、そんな希望さえ感じました。「情けは他人の為ならず(廻り廻って自分に返ってくる)」を少年が見せてくれたんですから。簡単には他人に解ってもらえない何かを孤独に引きずっている人にとって「もう一度前に歩みだしてみようかな」と思える気持ちをくれる映画ではないでしょうか。We are not alone
【だみお】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-02 03:24:05)
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