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《ネタバレ》 正直、高畑作品は今までピンとこない作品が多かったんですが、これは非常に良かった。日本人なら誰もが筋を知っている竹取物語。凡百の監督ならその題材に気負い込んで、独自の解釈をこれでもかと詰め込んで、別物の話に変えてしまうところですが、この作品は原作の筋をあくまで尊重し、王道的な手法で現代的なストーリーに昇華させています。その勇気にまず拍手。そして監督の解釈による、姫が最も感じたかったこと=生命の躍動感は、独特の絵柄と、ジブリならではの繊細な動きを通じて表現され、十二分に味わえました。心配だった役者の声も、プレスコ録りだったので、画に合っており、そこまで違和感はありませんでした(とはいえ背後に役者の顔は浮かびましたが…)。故地井武男さんの声も良かった。姫のキャラクターも素晴らしい。「ジブリ史上最高の"絶世の美女"」のコピーは伊達ではありません。久石譲の音楽もまた、ずるい。最も悲しい/切ないシーンに、あえて最も楽しげでワクワクする音楽を持ってくるとは。これで涙腺が決潰しました。子供の頃から筋を知り尽くしている昔話で、まさか泣かされることになるとは。結果的に「風立ちぬ」との同日公開を断念し、最後まで作り込んだのは、正解でしたね。今年見た映画で一番です。地井さん・氏家さんも泉下で喜んでいるでしょう。海外でも間違いなく受けると思います。
【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-11-23 21:29:47)
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