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《ネタバレ》 はっきり言って好きなタイプの映画ではありません。ただこの映画は、私のどーでもいい好き嫌いなんか乗り越えて、とにかく惹きこまれてしまう強さがあります。
永作博美演じる希和子は唯一の犯罪者。でもこの映画で一番優しく描かれている存在でもあります。そして主人公の母親として描かれているのもやはり希和子です。なんだか『悪人』に似たプロットです。 ただこの映画では森口瑤子演じる恵津子の存在も目を引きます。恵津子は恵津子で、やはり自分のお腹を痛めて生んだ我が子だからこそ、恵理菜に母親としての愛情を注ごうとします。ですが娘の自分を見るその目は他人をみる目。それは普通の人だったら精神を病んでもおかしくないくらい辛い現実でしょう。だれが恵津子を責められましょうか。恵津子は実の母親でありながら我が子を奪われてしまったせいで、母親となりえる機会を奪われてしまいました。もしかするとこの作品中最も悲惨なのは恵津子かもしれません。 恵理菜は恵津子の前では娘を演じ、希和子の前では本当の娘としていられたのでしょう。 劇中ずっと本心を見せない主人公。この人物は恵理菜なのか薫なのか。 千草と記憶をたどる旅を続けるにしたがって、少しずつ当時の記憶がよみがえる。そして遂に封印していた自分の本当の気持ちと向き合う。『私は本当はこの島に帰りたかった。でもそんなこと思っちゃいけないと思った。』 三つ子の魂百までと言いますが、この映画を見ると本当にそうなんだろーなーと思います。 『私はお腹の子に美しい景色や世界を見せる義務がある。』『まだ会ったこともないのに、私もうこの子が好きだ。』 なんて力強く感動的な言葉なんだろう。 【たきたて】さん [DVD(邦画)] 7点(2022-02-27 22:48:29)(良:2票)
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