竜とそばかすの姫 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想

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竜とそばかすの姫 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 竜とそばかすの姫
製作国
上映時間121分
劇場公開日 2021-07-16
ジャンルSF,アドベンチャー,ファンタジー,アニメ,ミステリー,青春もの,音楽もの,ネットもの
レビュー情報
《ネタバレ》 仮想空間と田舎を対比させているのは「サマーウォーズ」の系列作に見える。仮想空間には警察がいないそうだが、どうせ運営側が直接統制をかけるだろうがと思えばそういうことでもなく、これはいわゆるweb3.0か何かで誰にも支配されない世界が実現しているという設定か。50億の集合意識で本当に価値あるものが自ずと見出されていくという都合のいい展開は、監督が基本的なところでインターネット空間の発展に期待を寄せているという意味かも知れない。
また本物の顔を見せてこそ信頼が生まれるという考え方はわからなくはない。本人似のアバターを提案する方式も人格的なつながりを持たせる意図のようで、またSNSと紐づけ可能という設定からも、完全に別人格になれるメタバースというよりは実名登録で写真付きというフェイスブックの原点を忘れるなというようでもある。「新しい人生を始めよう」という言葉は、新たに見出された可能性を仮想空間内で完結させず、現実世界に持ち帰った上で新しい人生を自分で作っていけという意味かと思った。仮想空間の映像表現を売りにしながらも、「サマーウォーズ」と同様に現実世界とのつながりを意識していたようではある。

ところで素人が水難救助をしようとすると、結果として助けようとした方が亡くなってしまうことが現実に多い気がする。そういう時は無理せず公的機関に通報する一方、自分は安全な場所から助ける努力をするのが適切だろうが、しかしそれでも主人公の母が自分で助けに行ったのは、理性的判断というよりそうせずに済ませられない性のようなものがあったのか。まさにその点を主人公が受け継いだのだとすれば、そういう理屈抜きの衝動にそのまま共感できるかどうかがこの映画の評価を分けるかも知れない。主人公の方は今回たまたまいい結果を出せたということらしい。
全体的にみて、作り手側の思い優先で現実性度外視のところが多いのは作家性の強さと取るべきか。またそれとは別に、映像で観客の感情を動かす力を持った映画だとは思った。点数は作中の"半分が批判、半分が評価"というのを一人分の数字に反映させておく。

なお今回は少女の大泣きは控え目だった。主人公は「こんなに普通の子だったなんて」と言われていたが、普通未満と思われなくてよかったともいえる。仮想空間はとても人とは思えない連中だらけで、主人公がちゃんと歌姫の姿をしていたのはかえって特異なようでもあった。
かっぱ堰さん [インターネット(邦画)] 5点(2023-02-25 09:16:26)(良:1票)
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