殺人の追憶 の 乱泥 さんのクチコミ・感想

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殺人の追憶 の 乱泥 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 殺人の追憶
製作国
上映時間131分
劇場公開日 2004-03-27
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの,刑事もの,実話もの,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》  私は後味の悪い映画が好きで、この後に撮られた『母なる証明』を猛烈に支持しているが、この『殺人の追憶』には首をひねってしまった。美しいオープニング・イメージに心を掴まれながらも、おぞましい犯行シーンに戦慄しながらも、最後はイライラだけが残った。なぜなら、主人公に1ミリも「成長」が見られないからだ。

 この観賞体験は、テレビ番組の「ザ・ノンフィクション」にとても近いと思う。「世の中には、こんな救いようのない人間がいるのか…」と胃が重くなる感じ。「他人の不幸は蜜の味」ではなく、ただただ臭いメシを擬似体験する感じ。それはこの監督の、ひいては韓国映画の持ち味として評価されている部分でもある。

 しかし道中がエグく、後味が悪いとしても、カタルシスは用意されていなければならないと思う。『母なる証明』にはそれがった。あのお母さんは最後に、「社会的な意味での存在の変質」と、「母という本質のブレなさ」をダブルで提示してくれる。「母は母である時点で、存在としてすでに純化している」という反則技なのだ。

 本作の主人公にも一応、「人を見る目があるという傲慢な自信が揺らいだ」とか、「容疑者を殺そうとする刑事を止めた」といった瞬間的な対比は用意されているが、あの局面であれば誰だって揺らぐし止めるだろう。そこに主人公の「成長」はなく、ただイライラさせられただけで終わってしまった。実話ベースとはいえフィクションなので、事件の凄惨さに胸を痛めて「考えさせられた」などというのは評価になり得ない。
乱泥さん [インターネット(字幕)] 5点(2022-08-08 06:40:33)
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