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《ネタバレ》 ミュージカル映画を冒険アドベンチャーモノのプロットで作ったらこうなりました、という見本のような映画。このプロットというのが本当にコテコテの王道プロットでして、割と色々な映画でも使われているものです。①主人公がある大きな難関に遭遇し、すごすごと引き返してくる。②社会的地位の低そうな連中(黒人の不良生徒達)の仲間になる。③野蛮なはずの彼らが実に洗練された技術(ダンステクニック)を持っていた。その技術を授かって難関を突破。④難関突破のご褒美イベントとして、主人公が以前から「いつの日かあそこに…」と憧れていた場所(TVスタジオ)で自由に行動できる状況に。以降、「忙しいが非常にやりがいのある充実した日々」が過ぎていく。さらに、素敵な異性との仲が親密になる嬉しいイベントも発生。⑤蜜月の日々から一転、主人公の運命が急激に破滅へと向かい始める。仲間達と離れ離れになり、主人公の立場が刻一刻と悪い方へと向かう。⑥絶体絶命の状況から一気に敵の懐までスッポ~ンと飛んでいくありがたいワープイベントが発生。⑦最後は愛する人との共同作業で敵にトドメを刺す。…と、まあ大体こんな感じの話になります。こうしてみると本当に教科書的な王道プロットです。実はこのプロットは、宮崎駿さんの傑作「天空の城ラピュタ」にそっくりの構成なんです。試しに②の「黒人の不良生徒達」を「海賊達」に、③の「ダンステクニック」を「飛行機」に、④の「TVスタジオ」を「大空」に変えてみて下さい。あとはほとんど同じになりますから。ま、ともかくこの映画、黄金期の宮崎駿さんも好んで用いたこの超優等生プロットのお陰で、ミュージカル映画としては驚異的なハイペースでサクサクと気持ちよくお話が進んでいきます。普通のミュージカル映画では、ミュージカルシーンに入るとそこで一旦ストーリー進行が途絶えがちになったりするものですが、この映画ではミュージカルシーンでもお構い無しにどんどんストーリーを進行させるという方法がとられているので、その疾走感たるやかなりのものです。ミュージカル映画でここまでのスムーズネスを実現した映画はちょっと例がないのではないでしょうか。シチュエーションを頻繁にチェンジさせて、視覚的にも飽きさせない工夫がなされているのも感心しました。これには「雨に唄えば」的なサービス精神を感じます。9点です。良く出来てます。
【バーグマンの瞳】さん [地上波(字幕)] 9点(2013-08-16 20:34:03)(良:1票)
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